“からだが欲している食べ物”とは別に、“心が欲している食べ物”があると、私は考えている。
からだが欲している食べ物は、食べると「美味しい」と感じるから、すぐに分かる。
心が欲している食べ物は、「嬉しい」、「幸せ」を感じると、私は考えている。
私はそれを、“ソウルフード”と呼んでいる。
心が満たされる食べ物。
魂が満たされる食べ物。
その意を込めて、ソウルフードと呼んでいる。
私にとってのソウルフードは、グラタン。
子供の頃、母さんが作ってくれた料理の中で、一番好きな食べ物だ。
うちは母子家庭で、母さんは朝早くから、夜遅くまで、がんばって働いてくれていたから
料理に手間をかける時間がなくて、簡単にできる1品ものばかりだった。
でも、グラタンだけは時間をかけて丁寧に作っていたのを覚えてる。
母さんのグラタンは、今でも私の一番好きな料理だ。
そして今、私は自分でグラタンを作って食べている。
私のグラタンは、母さんのグラタンとは全然違う。
ソウルフードは、記憶の中のものと、完全に一致していなければならないという決まりはない。
私はグラタンを食べることで、自分が幸せで、心が満たされるのが分かるんだ。
大事な人を思い出す。
食べるだけで嬉しくなる、幸せになる。
それが私の言うソウルフード。
そしてソウルフードは、ひとりにつき1つまで、という決まりもない。
私にはもうひとつ、もみじ饅頭というソウルフードがある。
広島を思い出して、故郷を思い出して、幸せな時代を思い出す。
からだが欲していなくても、心が欲しているものは、自分のために、ぜひ食べてあげてほしいと思う。
それがおばあちゃんの手作り料理だったり、ケーキだったり、すき焼きだったり、チョコレートだったり、人によっていろいろ違うと思うけれど
心が欲しているものは、食べても太らないから大丈夫だよ。
ソウルフードは、きみのからだとも、とても相性が良いんだ。
世間一般で言う、太る太らないの概念に振り回されすぎないで
たまには自分のからだと心の声を聴いてあげてね。
きみがからだと心に与えた幸せは、からだと心が、必ずきみに返してくれるから。