脱皮失敗してから
一人(人?)で生きられなくなったシウマイ。
体の毒素を全力で排出しているのか、水流を生む勢いで汚れた水を排出している。
あっという間に水が汚れる。
目を離した隙に、汚れた水の中で窒息しそうになっている。
頻繁な水換えと、人間の手での移動を必要とすることになったシウマイ。
今のシウマイの姿を見ると、昨日読んだ本の一文がリフレインする。
「今の医療は、死を敗北と言わんばかりに延命する。患者が家で息を引き取ろうとしていた時、家族に見守られながら旅立つことが自然であったはずなのに、その患者は誰もいない病室でおよそ10ヵ月間生かされ、誰も見ていない隙に一人で息を引き取った。」
シウマイのこれは、私の手によって生かされている点では、不自然と言っていいだろう。
シウマイにとってこれは幸せなのかなと思う反面、そもそも生まれからして、サワガニにとっての自然ではなかったとも思う。
スーパーの鮮魚コーナーにいたシウマイ。
食用として育てられ、美味しく食べられるのが運命だったシウマイ。(私みたいに飼う人もいるだろうけど。)
自力ではどうにもならない環境で、今日までシウマイは文句一つ言わず生きている。
喋れたら文句の一つも言いたかったかもしれないが。
今は私も、そんなシウマイの側にいようと思う。
今までろくに手をかけなかった分、お世話させていただこう。
シウマイの気持ちが分からない分、私に後悔が残らないように。