私だって
子どもだった時
将来、どんな大人になるんだろう?
って、少しくらいは想像した。
でも
全く想像できなかった。
…できなかったのかなぁ?
たぶん、違うと思う。
たぶん本当は
想像するのが怖かった。
だって
周りの大人たちは
絶望しか口にしないんだもの。
「大人になったら嫌なことばっかり」
「我慢しなきゃいけないことばっかりだよ」
「遊んでいられるのも今だけ」
「大人になったらどんなに辛くても働かなきゃいけない」
「子どもがいるから仕方無い」
「大人だから仕方無い」
「諦めなさい」
「黙っていうこと聞きなさい」
「あなたまだ子どもでしょ」
「あなたもう子どもじゃないんだから」
小さかった私は絶望した。
だって子どもの今でも
良いことなんかほとんどないのに。
大人になったらもっと
今よりもっと
辛いことばっかりで
我慢しなきゃいけなくて
働くことは辛いことで
夢も希望も無くて
大人になったら
死ぬまでそんな
地獄を生きなきゃいけないなんて…
短期大学を卒業したと同時に
耳の奥でぷつんと音がしたの。
「ああもう私
これ以上は頑張れない」
って思った。
そこから5年
実家の自室に引きこもった。
他人はおろか
親やきょうだいたち、
血の繋がった家族とも一切顔を合わさなかった。
否、
血の繋がった家族だからこそ
顔を合わせられなかった。
信じてもらえないと思うけど
私、これでも頑張ったよ。
家でも
学校でも
部活でも
習い事も
受験も
アルバイトも
頑張って頑張って
ずっと我慢し続けたよ。
いいことなんかほとんど無かったけど
無理して我慢するのが当たり前だと思ってた。
ごめんなさい
私、これ以上頑張れない
私は大人になれない
なりたくない
ごめんなさい
疲れた
私はもうこれ以上頑張れない。
頑張るのをやめても
心に圧しかかる負担は増える一方で
重く苦しい地獄は続いた。
このままずっとここにいれば
大人にならないで済むかな。
外に出たくない
社会に出たくない
大人の仲間入りしたくない。
大人になりたくない。
私にとって
自分が大人になることは
彼らと同じ
絶望になるということ。
これ以上絶望して
私はどうやって生きていけばいいんだろう。
大人になりたくない
そんなわけにいかないって分かってる。
けど
大人になりたくない。
なりたくない
なりたくない
あんな絶望生きたくない
いいことない
楽しいことない
幸せなことない
一つもない
不平不満
文句しか出ない
絶望しか出ない
こんな世界で生きていたくない
絶望しかないこんな世界で
私生きたくない
生きたくないよ。
誰か助けて。
大人になった自分が想像できなかったわけじゃない。
想像したら自分が壊れてしまう。
だから出来なかった。
もしも今の私が
子どもの頃の私に
伝えられることがあるなら。
確かに
子どもの頃とは違う辛さや大変さが
大人にはある。
嫌なことも
何もかも投げ出してしまいたいことも
諦めてラクになりたいことも
たくさんある。
それは嘘じゃない。
でもね
いいことない
楽しいことない
幸せなことない
一つもない
それは嘘だ。
君の周りの大人たちは
本当にそうだったのかもしれないけれど。
でもそれは、君には当てはまらないから。
この先きみは
傷ついたり
苦しかったり
悲しかったり
絶望したり
いろんな体験をするだろう。
そして同じくらい
もしくはそれ以上に
嬉しいこと
楽しいこと
幸せなこと
生まれてきてよかったと思えること
数え切れないほど体験するだろう。
私だって大人だ。
周りの大人の言うことを信じるなら
私の言うことも信じてよ。
諦めちゃだめだよ。
自分の人生を
絶望しかないって決めつけなくていい
最後まで生きよう。
まだ途中だよ
最後まで見よう。
私もまだ見ていない
物語の続きがあるんだ
見ずに死ねないでしょ。
この先どうなるか分からない
怖いのは私も同じだから。
大丈夫
きっと大丈夫。
いこう
私は君に
未来を見せてあげたいんだ。