母さんがどんどん動けなくなって
自力で寝返りも打てなくなった頃
私は母さんの体を力任せに横に向かせながら、母さんに言った。
「母さん、痛くしてごめんな。介護ど素人だもんな。」
動けなくなるのに比例して、喋ることもままならなくなっていたのに
母さんは力を振り絞って応えてくれた。
「そんなことないよ。あんたが一番。」
この時、私は背中側から母さんの体を押していたから
母さんの顔は見えなかったけれど
母さんの背中に回っていて良かった~と思う。
こっち向いていたら、泣きそうになったのバレるもんな。
きっと、「あんたが一番世話してくれた」という意味の「一番」だったのだろうけれど
私が何かの形で、母さんの「一番」になる日が来るとは思わなかったから
嬉しかったよ、すごく。
きっと一生、忘れられないと思う。
広島 畑賀の風景