薄々だけど気づいてた。
私にとって
夫はお母さんだ。
お母さんと同じような人と結婚してしまった。
結婚したらたまたまそういう人だった。
では、ない。
違う。
お母さんと同じような人と結婚したんじゃなく
お母さんと同じような人だから
結婚したんだ。
意識していようと無意識だろうと
私が選んだ。
お母さんと同じような人だから選んだ。
たまたまじゃない
私が選んだ。
私が選んだ。
仕事が忙しくて余裕がなくて
いつも大変で疲れていて。
私はそんなお母さんをずっと助けたくて
でもどうしたらいいのか分からなかった。
お母さんみたいに必死に働く以外に
助け方が分からなくて
でも私はお母さんみたいに
がむしゃらに頑張って働くことが
不得意だった。
私、何をやっても駄目。
お母さんみたいに上手くできない。
お母さんみたいに頭良くない。
お母さんみたいに勉強できない。
お母さんみたいに子ども3人も産めない。
お母さんみたいに働きながら一人で子育てできない。
お母さんみたいに働けない。
お母さんみたいに耐えられない。
お母さんみたいに
お母さんみたいに……
…、………。…
立派なマザコン。
コンプレックスが酷い。
今も忘れられない
お母さんからの一言があるんだけど
もう辛くてさぁ。
「あんたは私の子なのに
なんでやろうとしないの？
やればできるはずでしょう」
ははっ
死にたい。
そうだよな
あなた才女だし
優秀だし
有能だし
だから
こんなポンコツじゃなく
優秀で賢い子がよかったよな。
ほんとごめんなぁ
なんで生まれてきたんだろ。
なんでなんだろ。
なんで頑張れないんだろ。
なんで
なんで？
こんなポンコツのくせに
なんでか分からないけど
お母さんが好き。
ポンコツのくせに
やればできることもやらないくせに
自力で何かやり遂げたこともないくせに
なんでお母さん助けたいって思ったんだろ。
助けるどころかお荷物じゃん。
ごめんなぁ。
私みたいなのが子どもで
恥ずかしいよな。
恥ずかしいよ
こんな自分で。
ごめんなさい
私じゃお母さんを助けられなかった。
お母さんとよく似た人に出会った。
今度こそ助けたい。
きっと、たぶん、無意識だけど
そう思った。
私婚してすぐにパートを始めた。
お母さんみたいに必死に働いて
お母さんみたいに忙しくして
お母さんみたいに大変な思いをして
くたくたになるまで働いて
疲れて。
そうすることが相手にとって
一番喜んでもらえて
助けになると
本気で思っていた。
大間違いだった。
大間違いだったけど本気だった。
私は夫を本気で助けたかった。
私は本気でお母さんを助けたかった。
助けたかった。
少しでもラクにしてあげたかった。
私が働いてお金を稼いだら
その分働かなくてよくなって
笑顔が戻ってくると本気で思ってた。
でも、いくら私が働いても
夫の仕事がラクになることはなかった。
実家で同じことをしていても
きっとお母さんも仕事がラクにはならなかったと思う。
助けたかった。
また助けられなかった。
また何も出来ない。
私はまたお荷物になってる。
いつから対抗心にすり変わったのだろう？
私だって頑張ってる！
私の方が頑張ってる！
私のほうが辛い！
私のほうが
私のほうが……!!
本当はそんな主張がしたかったんじゃない。
助けたかったのに
助けてほしくなってた。
つらい
限界
私じゃ駄目
私じゃ何も
誰も
助けられないし
笑顔にできない。
どんなに頑張っても
笑顔にならない二人に絶望した。
すごく
すごーーーーーーーく無念だけど
私じゃ駄目だ。
もう、負けを認める以外
どうしたらいいか分からないや。
ごめんね。
私もう、頑張れない。
出来ないものは出来ない。
私じゃ無理だ。
もう、いい？
自分に言ってあげても。
「お疲れさま、よく頑張ったね。」
って。
