体が動かない。
誰かがしゃべっているけど声はくぐもっていて
よく聴こえなくて。
指一本動かすのも億劫で
そもそもこの意識に肉体があるかどうかも分からなくて。
夢の中では全ての動きがスローであるように
私だけが時間の外側にいるみたいだ。
ああだめだ
何も考えられない。
思考の重たさで潰れそう。
私は
私は
石。
そうだろう?
誰かがそう呼んだんだ。
私はここで
ずっとこうしているのだと。
ああもしも
生と死の輪廻から逃れられない運命に私も在るなら
どんなに鈍くてもいい
ここから動くことを許してくれ。
どうか望ませてくれ。
生まれ変わることができるなら
あの鹿のように
あの鳥のように
私はどこへでもいこう。